豪華な兼ね役が物語をより豊かに
──印象に残っているシーンなどはありますか?
小野アッシュとアフィンのシーンで言うと、最初にお話をしたアッシュがアフィンに「相棒」と言って、思いを返したシーンですね。それ以外だと、ストーリー構成的な部分ですけど、ダークファルスが出てくるたびに嬉しかったですね。「またダークファルスが出てきた!」「またか!」「お前もそうなの!」っていう(笑)。
ダークファルス化するシーンもすごく迫力があって、それに伴うみなさんのお芝居にも背中がゾクゾクしました。飛田展男さんが演じたゲッテムハルトがダークファルス化してエルダーになるシーンは、ものすごい熱量と狂気をはらんでいました。そもそも僕が飛田さんのお芝居が好きだというのもあるけど、ゲッテムハルトのあの荒っぽい感じは秘めたる想いの裏返しで、究極のツンデレですよね。
下野最後にメルフォンシーナに向かって「俺のようにはなるんじゃねえぞ」って言うじゃないですか。あそこの優しさが、生きてくるんですよね。
小野すごくグッときました。自分の芝居はもちろん魂込めて頑張りましたが、他のキャストの方の芝居を見るのが、本当に楽しかったんです。ダークファルスになった時の皆さんのお芝居は本当に素晴らしかった。やっぱり憧れますよね、中二病的な感性からすると。
下野闇落ちね(笑)。
小野アフィンのお姉ちゃんがダークファルス・アプレンティスになるところもそう。先代アプレンティスが桑島法子さんで、「アプレンティスも二代目なんかい!」と。あの辺りの畳みかけはお芝居が絶妙で、すごく面白かった。マトイが先代のクラリスクレイスだったわけだけど、今のマトイとのお芝居の変え方にグッときましたね。
下野それで言ったら、僕は釘宮理恵さんのダブルですね。見た目での性別の違いは出すけど、基本ラインの芝居は変わらない。ダブルは二人で一つみたいなものだから、それをちゃんと表現していたのはすごかったし、ダブルの怖さが表れていました。
小野現場で聞いていて、ダブルの演技は怖くて仕方が無かったです。あれは本当にすごかった。
下野映像で言えば、怖かったのはリサじゃない?
小野ホバリングしていたからね。「ゾクゾクしますぅ~っ。では!」って言いながら、ブォ~って高速ホバリングして去って行って、めちゃくちゃ怖かった(笑)。
下野アビスが発動してアフィン、イオ、リサがアッシュを追い詰めるんですけど、マトイの能力でアビスが解除された瞬間、アフィンとイオは変わるのにリサはまったく変わらなくて。「元からこうなんだな」と思ったのと同時に、結局あの子は何だったの? という疑問が、あそこでさらに深まりました。
小野今作は兼ね役が多くて、花澤香菜ちゃんがリサをやっているのは最後まで謎じゃない?
下野飛田さんがゲッテムハルトとダークファルス・エルダーを兼ねるとか、小野さんがアッシュとペルソナを兼ねるのは、関係性として分かるじゃないですか。でも花澤さんが兼ねたメルフォンシーナとリサは、まったく関係がなくて。
小野でもリサはツッコミどころが満載なのに、演者の技量や説得力で全部昇華されていると言うか、キャラクターとして成立してしまっているんです。今作は、改めてみなさんの演技力のすさまじさを感じましたね。
下野ちなみに僕は、オーザという役も兼ねているのは知っていました?
小野それ誰(笑)?
下野ゲームだけのキャラクターで、アニメには出てこなかったんですけどね(笑)。
──『PSO2 エピソード・オラクル』は、アッシュが何度も時間遡行をして未来を変えるシーンがありました。お二人がもしも時間遡行を出来るとしたら?
小野僕は若い時に運転免許を失効してしまったので、その前に戻りたいかな。東京で仕事しているしもう乗らないからいらないと思って、その時は更新を面倒臭がっちゃったんですけど、今になって運転できたらもっと行動範囲が広がっていただろうになって。その時に戻って自分に言いたいです。「俺は“ダークファルス小野D”だ。ちゃんと免許を更新しろ!」って。
下野絶対しないよ。怖いもん(笑)。
小野“ダークファルス紘”は?
下野どうせなら“ダークファルス下野”のほうが良いかな(笑)。ダークファルス下野は、今から15年くらい遡って花粉の時期にはしっかりマスクして予防しろと言いたい。30歳前半くらいから花粉症に悩まされているんですけど、花粉症は自分のなかの許容量を超えると発症すると聞くので、早めに対処をしておけば今花粉症にならずに済んだんじゃないか、と。
──では最後にBD・DVD『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』を観る人に、この作品からどんなメッセージを受け取ってほしいですか?
下野アッシュは一貫してマトイを助けたい、この世界をより良くしたいと思っています。諦めなければペルソナの時間軸ではなく、アッシュの時間軸に辿り着けることもあるわけだし。アニメのアッシュがこれ以上マトイのためにならないと諦めていたら、第二第三のペルソナを生んでいたかもしれない。どんなことでも諦めたらそこで終わりだし、諦めなければその先があるかもしれない。アッシュに限らず、人生では挫けたり、あの時ああすれば良かったと省みることはあるだろうけど、とにかく一瞬一瞬を大切にすることが大事です。みんなも諦めずに頑張って欲しいと思います。
小野相棒が言ってくれた通りですけど、アニメで語られているのは、想い続けること、そして諦めないことです。そうすれば違う未来が見えたり新しいものを生み出せたりする、とてもポジティブで希望が持てるお話になったと思います。シリアスな展開続きで、僕自身もアニメーションに関わっていて精神的にしんどい時期もありましたけど、キャストやスタッフみんなの協力があって最後まで走りきることができました。一人で戦うのではなく、誰かと一緒に何かを成し遂げることが大事なのかなと思います。ゲームの『PSO2』をプレイしている方も、このアニメを観てくれている方も、決して一人じゃない。世界数百万人のゲームプレイヤーを始め、僕らキャストやスタッフも含めて、みんな一人一人がアークスの一員です。その絆を、感じていただけたら嬉しいです。
商品情報
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